介護中の母のトイレ習慣がラクに。食事を少し見直して気づいたこと

健康

「また便秘薬を飲む日が増えてきたな……。」

母の薬箱を見ながら、ふとそんなことを思った。
高齢になるにつれ便秘がちになり、病院ではマグネシウム剤を処方されていた。
「出ない時だけ飲んでね」と言われていたはずが、最近はそれが当たり前になりつつある。

でも、なぜだろう?
薬が効きにくくなったのか?腸の働きが弱くなるのは加齢のせい?それとも、食事に原因があるのか?

おー
おー

こんにちわ。食生活アドバイザーのおーです。

今回のエピソードは、実体験をもとに「腸にやさしい食習慣を取り入れる」ことに挑戦した記録です。
食生活アドバイザーとして学んだ知識を活かし、母の生活を一つずつ分析し、改善を試みました。

「食事を変えたら、便秘薬なしでも大丈夫になるのか?」
そんな問いを立てて生活を見直した結果、便秘薬に頼ることが減り、母も快適に過ごせるようになりました

✔ 便秘の原因は「加齢」だけではない?
✔ 食生活の落とし穴と改善のポイント
✔ 食事を見直したら、どのように変化したのか?

私の実体験を通して、食と健康について考えるきっかけになれば嬉しいです。


考えられる原因は?お腹の調子が整わない理由を考察

腸の調子が整わない背景には、様々な要因が関わる可能性があります。

そこで、まずは母の健康状態について整理し、多角的に考察してみることにしました。

まずはさまざまな仮説を立てた

問題の原因を探るため、まずは「医学的な要因があるのか?」から確認しました。

病院での定期健診では特に異常なし

母は要介護状態ですが、定期的に病院で健診を受けており、医師の診断では特に異常は見つかっていません。
そのため、腸の調子が整わない原因は、病気ではなく、生活習慣にある可能性が高いと考えました。

運動不足が原因かどうかを検証

高齢者にとって、適度な運動は腸の活動を促す重要な要素の一つです。
しかし、母はデイサービスを利用しており、毎日のリハビリや体操などの軽い運動を続けています。
このため、「まったく運動していない」という状態ではなく、運動不足が直接の原因とは考えにくいと判断しました。

次に、水分摂取量の不足をチェック

ここで気になったのが、水分不足の可能性です。摂取不足でも過剰摂取でも、腸の働きに影響を与えることが知られています。もしかすると足りていないのかも?

要介護状態による影響を考察

要介護の高齢者は、個人差こそありますが体の動きが小さくなりがちです。動きが小さいと、腸の働きへの影響が不十分になっていることもあるかもしれません。

加齢の影響を考える

年齢相応に、加齢により腸の機能が低下してしまっただけかもしれません。年齢を重ねることで、以前と同じ生活習慣を続けていても、体調に変化が生じてしまうのはごく自然なことです。

では改善の余地があるポイントはどこか?

ここまでの考察で「水分補給の頻度」や「加齢」による問題かもしれないと考えました。もし水分補給が十分でなかったり、加齢による腸の動きが影響していたりする場合、食生活を整えることで腸に負担をかけにくくする工夫ができるかもしれません。

より腸にやさしい食生活を考察した

加工食品の活用バランスを考える

これまで母の食事では、市販のお惣菜や加工食品を日常的に取り入れていました。
今回の腸の調子の変化を考えるにあたり、これらの食品の割合が腸のパフォーマンスに影響している可能性を考察しました。

加工食品自体が悪いわけではありませんが、これらの食品には塩分を多く含むものもあり、排尿を促しやすい性質があります。もしかしたら水分が失われやすく、母の腸の水分バランスに影響を与えた可能性があります。

気付きポイント

加工食品を活用する際は、水分補給を意識したり、野菜やスープなど水分を多く含む食材を組み合わせることで、食事のバランスを整えやすくなるかもしれません。

小麦粉(パン・麺類)の取り入れ方と腸の健康

母は麺類や粉物を以前から好んでよく食べます。
パンや麺類など、手軽な炭水化物は消化吸収もよく食事のバリエーションが広がりますが、精製された小麦粉を使った食品は水分をあまり含まず、食物繊維の摂取量が減りやすい傾向があります。

また、パンや麺類の中には塩分を多く含むものもあり、摂取量が増えると体内の水分バランスが変化することも考えられます。
かつ、小麦粉に含まれるグルテンは、消化の過程で腸の働きに影響を与える可能性があると指摘されることもあります。もし小麦粉の摂取量が関係しているのであれば、これらが腸の活動に影響を及ぼしている可能性もあるかもしれません。

気付きポイント

グルテンの摂取量を調整したい場合は、グルテンフリーの商品を選択することも一つの方法です。ライ麦や全粒粉など、原料そのものが工夫された商品に置き換えることも選択肢です。

食物繊維のバランスを意識する

便秘の対策として「食物繊維を摂ると良い」と言われますが、不溶性と水溶性のバランスが大切ということまでは見落とされがちです。

母の食事を振り返ると、キャベツやレンコン、サツマイモ、ゴボウなどの不溶性食物繊維が多い食品が中心でした。これら葉物野菜や根菜類に多く含まれる不溶性食物繊維は、腸のぜん動運動を促しますが、摂りすぎると水分不足を引き起こすこともあります。

一方で、水溶性食物繊維は、水分を含んで腸内の環境を整えやすくする性質があります。
これらは海藻類に含まれる割合が多く、代表的な食品としては、ワカメやヒジキなどの海藻類のほか、陸の食材ではなめこやオクラ、大麦などが挙げられます。

厚生労働省では不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の具体的な摂取割合については言及されていませんが、さまざまな食品を組み合わせてバランスよく摂取することの重要性が強調されています。
参考URL:厚生労働省e-ヘルスネット

気付きポイント

母の場合も、食事内容に水溶性食物繊維をもっと意識的に取り入れることで腸内バランスが整う可能性があるかもしれません。

組み合わせや食べ方のバランスを調整

これらの要素を振り返ると、母の食事には「水分摂取のバランス」や「食物繊維の偏り」が関係している可能性がありそうでした。そこで次のアクションとしては、食品自体を避けるのではなく、「どう組み合わせるか」「どんな食べ方をするか」の工夫を試してみることにしました。


改善案をもとに実践した内容

小麦粉(グルテン)を減らす

うちはもともとご飯が主食。パンや麺はたまに出す程度でしたが、それでも仮説を立てたうえは実践してみる価値はあります。粉物全般について、グルテンの摂取頻度を減らすことを意識しました。

ただし、「小麦=NG」と決めつけるのではなく、喉越しや食感を楽しみたいときは摂取し、普段は控えめにする という形で調整しています。

食品カテゴリ従来の選択肢代替案・調整方法
パン一般的な小麦粉パン全粒粉・ライ麦パン などを試し、好みに合うものを選択
パスタ・ペンネ小麦パスタ・ペンネ全粒粉タイプ・グルテンフリー商品 に置き換え
麺類小麦の麺(うどん・ラーメン)米粉麺・緑豆春雨・こんにゃく麺 などを取り入れてみた
点心類ギョーザ・シュウマイ提供頻度を見直し、シンプルな原材料のものを選ぶようにした
成功ポイント

食品を減らすイメージではなく、選択肢を増やしてバリエーションを増やすポジティブな感覚が成功のポイントでした。

食物繊維のバランス調整

これまでの摂取バランスを見直し、不溶性食物繊維(キャベツ・レンコン・サツマイモ・ゴボウなど)が中心から、水溶性食物繊維(オクラ・ワカメ・もずくなど)の摂取量を増やす方向でメニューを調整していきました。

食物繊維のグループ主要成分主な食品
不溶性食物繊維セルロース野菜(キャベツ、レタス)、穀類(玄米、小麦ふすま)
ヘミセルロース穀類(玄米、小麦ふすま)、豆類(大豆)
キチン・キトサン甲殻類(エビ・カニの殻)、キノコ類
水溶性食物繊維ペクチン果物(りんご、柑橘類)、根菜(にんじん、かぶ)
グルコマンナンこんにゃく
アルギン酸海藻類(ワカメ、昆布、ひじき)
アガロース・アガロペクチン寒天
カラギーナン海藻類(紅藻類)

出典:厚生労働省e-ヘルスネット

表で挙げた食品の特徴を考慮し、次のような改善をしました。

具体的には、

  • オクラ・なめこ・ワカメ … 味噌汁の具に使うなど、日常の食事に取り入れやすい工夫をした
  • 長芋・もずく類 … 酢の物などにして一品メニューに追加した
  • こんにゃく・里いも・ひじき類 … 煮物の定番として登場回数を増やした
  • 五穀米の導入 … 白米に混ぜて炊き込み、穀物由来の食物繊維を意識して取り入れた
  • 寒天 … 寒天よせなど
成功ポイント

プラスで、乳酸菌と相性の良い プラクトオリゴ糖 を取り入れる工夫もしました。
食物繊維の働きをサポートすることで、腸内環境を整える狙いです。

水分摂取を増やす

厚生労働省によると、成人の1日の水分摂取量の目安は約2.5L(食事からの摂取を含む)とされています。かなりの量ですが個人差があるため、一律に2.5Lを目安とするのではなく、体調や活動量に応じた水分補給が大切です。母の場合も高齢で、喉の渇きを感じにくく、意識的な水分摂取が重要とされるため、食事からも水分を摂取しやすい工夫を取り入れました。

具体的には、

  • 野菜類に含まれる水分も効率よく摂取できるよう、具だくさんのスープや汁物を増やした
  • 水分量の多い生の果物の摂取量を意識的に増やした
  • 寒い時期でも水分補給を忘れず、白湯などで少量ずつ摂る習慣に変えた
成功ポイント

最初は量の加減がわからず、排尿回数も増えてトイレ負担が増えて大変でしたが、だんだん母の体調に合った摂取量がわかってくると、献立も安定してきました。

結果と気づき

すぐに劇的な変化が現れたわけではありませんが、改善を続けるうちに便秘の頻度や重さが軽減し、数か月後にはマグネシウムなしで済むようになりました。

食事の調整だけでなく、運動や水分摂取を意識したことが相乗効果となった可能性が高く、以降、安定した排便リズムが保てています。

すべてのアプローチが直接的に効果をもたらしたとは限りませんが、少しの習慣の見直しを積み重ねることで、結果的に体調が整っていったように感じています。

おー
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この経験を通して「特定の食品を避ける」のではなく、「食事全体のバランスや生活習慣の調整」が重要であることを実感しました。

まとめ|食生活アドバイザー視点の考察

今回のまとめです。

以下の内容はあくまでも本記事の内容のまとめであり、特定の事例に基づいた検証結果です。すべてのケースに当てはまるものではないことをご了解ください。

まとめポイント

  • 高齢者の便秘は「加齢」だけでなく、「食事のバランス」も大きく関係する
  • 不溶性・水溶性食物繊維のバランスが鍵、極端な偏りは逆効果
  • 加工食品やグルテンの影響も考慮する価値がある
  • 腸内環境を整えるには 食事+水分+適度な油+適度な運動 が重要
  • 便秘薬は補助的な役割のため、食生活の改善で必要がなくなる可能性もある
食生活アドバイザー視点からの補足

便秘対策は「特定の食品を避ける」ことではなく、「食事・生活全体の調整」が重要。
極端な食事制限よりも、バランスの取れた改善を積み重ねることが本質的な解決につながる。

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