そのカレー、捨てないで!安全においしく食べるための保存と再加熱のコツ

食と栄養

「作りすぎたカレー、捨てるのはもったいない!」 でも、「翌日に食べたらお腹を壊した…」なんて経験はありませんか? 実は、カレーにはお腹を壊す原因となるウェルシュ菌という細菌が関係しているんです。

菌!と聞くと、なんだか怖いイメージがあるかもしれません!

でも、そこまで怖い存在ではないので安心してください。適切な保存と再加熱の方法を知っていれば、安全においしく食べられますよ!

カレーでお腹を壊す原因は「ウェルシュ菌」!

100℃に耐えるスゴイ奴

ズバリ、犯人は食材に元々付着しているウェルシュ菌。
食中毒菌の一種です。

これが鍋の中でうじゃうじゃ増えます。ギャー。

といっても毒性自体はそんなに強くなく、野菜の表面や土の中に自然に存在する細菌で、通常は問題を起こしません。 しかし、カレーのような煮込み料理では増殖しやすくなります。

なぜなら、ウェルシュ菌は100℃の高温に耐えられるという特徴があるからです。
土の中のように空気の少ない環境が大好きな菌なので、トロッとしたカレーやシチューの中では増殖しやすくなります。

カレーを煮込むと、ほとんどの雑菌は死滅しますが、ウェルシュ菌は熱に強い殻(芽胞:ほうが)を作って生き延びます
わかりやすくイメージすると、バリアを張れるチート能力持ってるような感じです。

カレーの加熱中にこのバリアを張って身を守り、100℃の高熱にも耐えてしまう、なかなかタフな菌なんです。

そして調理が終わって、カレーがゆっくり冷めはじめると、「もう安心かな?」と殻から出てきたウェルシュ菌が爆発的に増殖してしまうのです。

ウェルシュ菌の”パラダイス”

殻から出てきたばかりのウェルシュ菌の総数なら、もともと大した脅威ではないので、できたての後、しばらくたって程よく冷めた頃合いなら、食べても安心なことが多いです。
でも、カレーやシチューのようにトロッとした料理は冷めるのに時間がかかるため、ウェルシュ菌が増殖するのに最適な温度を長時間キープしやすく、リスクが高くなります。


バリアで高熱をガマンし続け、少し温度が下がって殻から出てきてからがウェルシュ菌の本領発揮!
ライバルとなる他の雑菌が加熱で全滅しているので、静まり返った鍋の中はまさに“パラダイス”状態。 ヒャッハー!とばかりに爆発的に仲間を増やし始めてしまいます。

作ってから時間がたつほどヒャッハーが続くため、元々は毒性が弱いのに、増殖しまくった「数のパワー」で一大勢力となり、食べるとお腹が×××…。
というわけなんです。

もう手遅れ?

じゃあやっぱり日にちの経ったカレーは捨てたほうがいいのか…?

というと、そんなことはありません!

ウェルシュ菌は、再加熱すればまた殻に閉じこもるため、よく火を通せば腸内での増殖はしにくくなります。

そして、殻に閉じこもった状態のまま食べれば、今度は胃酸のストレスから身を守るために殻から出てこなくなると考えられていて、結果的に大丈夫なケースが多い。

カレーはトロッとしているので、外側が熱くなっても中心部が冷えたまま…というように加熱が不十分だと、そこに活動中のウェルシュ菌が残ってしまいます!

だから、加熱が足りないとお腹を壊す原因になることが多いんです。

しっかりかき混ぜて中までアツアツに加熱することが、カレーでお腹を壊さないためのポイントになります。

カレーだけじゃない、こっちの料理でも危険!

「根菜を多く使っている」×「トロッとした汁」

シチューやあんかけなどのペースト状の料理も、ウェルシュ菌による腹痛を引き起こしやすいため、注意が必要です。

「根菜を多く使っている」×「トロッとした汁」の条件が揃っている料理は要注意。
ウェルシュ菌だけが生き残って、大喜びする環境になりやすいので、カレーと同じように適切な保存と加熱を心がけるのがいいです。

不安1:サラダは安心なの?

ウェルシュ菌は加熱した後の料理で増殖しやすくなるため、生の状態では少数なので力が弱く、問題を起こしにくいです。

例えば、ウェルシュ菌は土に含まれているため、ニンジンやゴボウなどの根菜にはほぼ確実に付着していますが、しっかり洗えば生で食べても基本的に問題ありません。

不安2:トロッとしてない汁なら安心?

さらっとしたスープなどであれば、根菜をたくさん使っていても、ウェルシュ菌が増殖するリスクはあまり高くないとされています。
さらっとしたスープは、冷めるのが速いので、ウェルシュ菌にとっては増える時間が少なくて不利になるようです。せっかくパラダイスに来たのにスキップする暇もなかった、みたいな感じですね。

不安3:レトルト(パウチ)のカレーは?

レトルト(パウチ)カレーは、ウェルシュ菌のリスクはほぼゼロです!

レトルトカレーは120℃以上の高温・高圧で加熱されるため、ウェルシュ菌を含むほぼすべての細菌や芽胞も死滅します。これにより、未開封の状態では常温で長期間保存しても問題ありません。

ただ、安心なのは未開封状態のものだけ。

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ウェルシュ菌は野菜の表面や人間の手に付いていることもあるので、開封後の長時間放置で一般的なカレーと同じリスクが発生しやすいです。

レトルトを温めた後、食べきれない場合は、これまでの説明通りに保存すれば安心です。

不安4:圧力鍋で100℃以上で調理すれば安心?

家庭でも120℃以上の加熱ができればウェルシュ菌(および芽胞)も死滅するため、理論上は安全になります。
圧力鍋ならこの温度での調理が可能です。
ただし全体に均一な加熱ができる保証がなく、仮に全滅させても、冷めた状態であとから混入する危険性もあるので、結局リスクはゼロにはなりません。

安全に食べるための保存方法

作ったカレーを無駄にせず、最後まで楽しむためのポイントはこちら

作りすぎたカレーは、なるべく早く冷ますことが重要!

スグに食べる分以外は、小分けにして冷蔵 or 冷凍する(小分けにしたほうが速く冷えます)

早く冷ますために、鍋ごと氷水に浸けて冷ますのも◎。

鍋ごと冷蔵庫に入れると冷めるのに時間がかかるので、浅い容器に小分けして冷ますのがオススメ。

冷凍すれば長期保存も可能

冷蔵なら1~2日以内に食べきる。

冷凍すれば1か月程度保存可能。冷凍することで細菌の活動が停止するため、長期間の保存が可能になります。

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ただ、増えてしまった菌が冷凍によって死滅するわけではないので、冷凍保存する際もできるだけウェルシュ菌が増えないうちに凍らせるのが大切ですよ。

食べる前には必ず再加熱!

カレーを再加熱する際は、とにかくしっかり加熱することが大切です!

  • 鍋で加熱する場合
    • 沸騰してから3~5分以上、かき混ぜながらぐつぐつ煮込む。
  • 電子レンジの場合
    • 一度温まったらよくかき混ぜて、ムラなく加熱する。

ウェルシュ菌は熱に強い反面、再加熱すれば殻に閉じこもるため、アツアツなら安全に食べられます。

どうでしょうか?これまでの説明で、ちょっと怖いイメージを持たれたかもしれませんが、ウェルシュ菌は身近に存在する細菌で、そもそもの毒性はそこまで強くないとされています。適切な保存と加熱のポイントを押さえれば、食中毒のリスクは大きく下げられるので、過度に心配する必要はありません。

まとめ:カレーは正しく保存&加熱しておいしく食べよう!

ウェルシュ菌が増えやすい料理に注意!シチューやあんかけにも同じリスクあり!

なるべく急速冷却を心がけて、小分けで冷蔵・冷凍!

食べる前はしっかり加熱!特に2日目以降は要注意!

カレーやシチューは、具材の栄養がしっかり溶け込んで、一皿で手軽にスタミナ補給できる料理。ほかにおかずがいらないほど栄養満点で、コスパも◎
保存や加熱のポイントを知っているだけで、カレーをもっとおいしく楽しめます!

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ではまた!

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